「KS学園水泳部員共5thseason」 アクアピオン様
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[2018.05.29] アクアピオン様 「KS学園水泳部員共5thseason」


【3rdからの続き】


陽葵と沙羅の姉妹は、恭子と香奈恵の協力のもと、精神科医の森本から治療を受け、平穏な日常生活を取り戻していった。
2人は心からの笑顔を浮かべられるようになっていった。


6月も後半になり、KS学園水泳部の練習は佳境を迎えていた。

「KS5泳傑」は1人を除いて活況を呈していた。
崇大、諒太朗、雅弥の3人は「遙佳」というご褒美を目指して、タイム更新を続けていた。

和将はご褒美に見向きせず練習に取り組んでいたが、方向が掴めていなかった。
ある日、隣のコースに1年生女子部員の泳ぎを見た。自分と似た体格で同種目。フォームに注目していった。一緒に練習して欲しいと頼んだら、快諾してくれた。
眞美は水泳強豪校から入学した1年生。普段はなかなかスイミングスクールや強化合宿で部活に顔を見せることがない。
再び眞美が部活を離れるまで一緒に泳いでもらい、アドバイスで一気に伸びていった。
「ほんとありがとう。助かったよ」
「私は何もしてないよ。頑張ってネ」

泳ぎもすごいけど、結構可愛い子が近くにいたなんて気づかなかった。頑張っていいとこ見てもらわなきゃ。

智也はジャグジーに入りながらため息をついた。KS1年生5泳傑のうち自分1人、タイムがあがってこない。居残りして、裕樹のコーチで自主練も目一杯していた。裕樹はいつもよりことさら厳しく、プールに怒号がひびくこともあった。裕樹との練習後も残ってトレーニングしていた。
ジャグジーの前に女子の姿が見えた。見上げると陽葵だった。
「お、お疲れ」
慌てて、智也はジャグジーを出て行った。
「・・・おつかれさま」

あ、焦った。はあ・・・あんなことやっちゃったからなあ。あの子と目を合わせられないよ。かわいいんだよなあ。もう、俺には芽がないよなあ。

翌日も智也は練習後、ジャグジーに入っていた。
女子部員の水着姿が現れると、またも陽葵だった。
この日はことさら裕樹の指導が厳しく、すぐに身体が動かず、ジャグジーから出るタイミングを逸した。
陽葵は智也の隣に横たわった。
「・・・おつかれさま」
と、陽葵は前を向いたままつぶやいた。
「お、お疲れ・・・」
しばらく智也は前を向いたままだったが、横目で陽葵をのぞき見た。

か、かわいい。やっぱきれいだよ。

ジャグジーの泡から、バストが浮き出ていた。丸い膨らみを見て、智也は股間を押さえた。

ま、まずい!あんなことしちゃったのに、ばれたらたいへんだ。
「ふう・・・」
そのあとも智也はため息ばかりついていた。股間のモノが鎮まってジャグジーを出ようと思ったら、陽葵が小さな声で、微笑みながらつぶやくように言った。
「・・・どうしたの?ため息ばっかりついて」

かわいい!こっち見て笑ってくれた。まともに顔見るのはじめてだ。だ、だめだあ、また・・

多感な年頃だ。またも智也はジャグジーから出られなくなった。
「今、5人の中で、俺だけタイムが伸びてないから。練習はがんばってるつもりなんだけど」
「・・・一番練習してると思う。裕樹先輩もそう思ってるからあんなに厳しいのよ。大丈夫。あなたが1年生のなかで絶対に一番になれる」
陽葵は自信をもって言った。これまでの経験から、練習量がすべてと思っていた。
去年までの3年間、中央女学院の水泳部で、優菜に引っぱってもらい、厳しい指導と練習量のなかで泳力をつけてきた。優菜からたっぷりと思いやりと愛情を受けて、辛い経験から自分を取り戻すことができた。
その姿を、裕樹と智也の姿に重ねて見ていた。裕樹の後輩への思いやりと、その先輩の心に応えようとひたむきな姿を見せる後輩に。
いずれ智也は5人の中で一番になると確信した、いや、そう願っていた。
「本当に?」
「約束できるよ」
「じゃあ、一番になれたら・・・」
「・・・なれたら?」
「あ、あのお、その・・・デ、デート・・・して・・・くれる?なーんて・・・」
陽葵はジーッと智也の顔を見つめた。
微笑みながら「フフッ」と言って、ジャグジーを出た。

ああー!だめだあー!とんでもねえこと言ったあ。最悪・・・疲れて頭おかしくなってるか?

翌日、いつもどおり自主練があり、裕樹は自分の練習と合わせて、智也を個人指導していた。

今日はひときわ練習に力がはいってるなあ。修正が効いてる。だけど休憩のときにため息ばっかりついてんだよなあ。メンタル面大丈夫かなあ。厳しくやりすぎたか?

智也は陽葵にデートの誘いをしたことにひどく後悔はしたが、しっかり切り替えて練習に専念していた。しかし、陽葵も毎日自主練をしていて、泳いでいる様子が見える。休憩で、その姿が見えると後悔がもたげて、ため息がでていた。
裕樹はロングスローの練習も入れて、少し調整した。いつもより練習が長引き、裕樹は智也と少し話をしようと一緒にジャグジーに向かった。
すると、ジャグジーをあがって陽葵がこちらに歩いてきた。
「・・・おつかれさまでした」
「おう、お疲れ」
「・・・」
智也は俯いたまま通り過ぎた。
「おい!部員があいさつしてんだぞ。黙ったままなんてあるか!ったく・・・」
「す、すいません!」
大きくため息をついた。

2人はジャグジーに入った。
「よく頑張ってきたな。もうタイムがあがってくるよ。でも、なんだかため息が多いな。疲れたか?それに部員にあいさつもしないなんて、おまえらしくないな。まだ引きずってるのか」
「いや、ため息は・・・そうだ、先輩って千人斬りの女ったらしなんですよね。女の子のこと・・・でも女に苦労しない女好きにはわかってもらえないか・・・」
「お、おまえ、ふざけんな。だれが女ったらしの女好きだ。だいたい千人斬り?いつの間に桁があがったんだ。何かあったな、白状しろ。明日から練習見てやんねえぞ」
「うわっ、わ、わかりました。実は・・・」
智也は顛末を裕樹にすべて話した。
「・・・僕はもう破滅です」
「何言ってんだよ。めっちゃ脈ありじゃん。俺、あの子に微笑んでもらったことないぞ。うちの男子部員でそんな奴いるか。さっきだって無表情だろ」
「でも、笑って済まされたから」
「嫌なら微笑まねえよ。無言で無視だよ。今からダメだって決めつけるな」
「そうかあ・・・さすがクソ女ったらしの先輩だ」
「おまえ!」
「うぐぐ・・・」
裕樹は智也の頭をジャグジーに沈めた。


「はあ、はあ・・・いやっ!・・・気持ちいい・・ああん・・・」
暗いバスルームから甘い吐息と喘ぎ声が聞こえる。
脱衣所から漏れる灯りのなかで競泳水着に身を包んだ友華と裕樹が愛を育んでいた。
吐息が次第に乱れていく。友華は裕樹の首に腕をまわしてしがみついた。
「ああん!いやっ、いやあん・・・いい、いいっ・・・ああっ!」
友華は裕樹に身体に必死でしがみつきながら、バスルームに激しい喘ぎ声を響かせてエクスタシーに達した。
「はあ、はあ、先輩・・・好きだ・・・ああっ」
裕樹は勢いよく射精して、ぐったりと友華に覆い被さった。
2人は抱き合いながら、長く濃厚なキスを交わした。
「なんか、キスで気が遠くなるような・・・先輩のキスってすごいんじゃないですか?」
「これまでつきあった子のなかで一番ってこと?」
「僕ファーストキスは先輩なんですけど」
「・・・呆れるわ。そんなわけないでしょ。今さらなんだか・・・隠しちゃって」
「いや・・・そんなことは・・・」
「まあ、言いたくないわよね」
友華はふてたように、身体を横に向けてしまった。実際、ウソではないのだが。
裕樹は精液がたっぷり入ったコンドームを処理した。

2人は湯船に重なり合って座っていた。
「しかし、元気ねえ。そんなに違うわけ?」
「いや、まあ・・・」
友華は撮影のときにもらったアクセルスーツのグレイ×ブラック×レッドを着ていた。
「それにこの水着好きねえ。なんで?」
「いや、それも・・・本能?」
「どんな本能よ。これもう小さいのよねえ」
「だったら白の・・・」
「嫌っ!」
「先輩はよくなかったですか」
「別に私は競泳水着着なくたって」
「そうじゃなくて、良かったでしょ?先月より」
「そんなこと・・・」
「じゃあ競泳水着なしのときの僕で満足?だったらそれでもいいけど」
「裕樹君はそれでいいの?着て欲しいんじゃないの?満足できるの」
「競泳水着なしと、気持ちよくいくことと、どっちがいいんですか」
「うっ・・・えっ!何、聞いてくるのよ!」
「すごい喘ぎ方で全然違ったもん。ホントにいいんですかあ・・・」
「もう・・・」

ややのぼせ気味の2人はベッドに寝転がっていた。
「陽葵ちゃん少しずつ元気になってきたわ」
「うん。智也には笑顔を見せたそうですよ」
「智也君に?」
「あのことは気になっていないのかな」
「うーん、詳しくは植松コーチから聞いてもらうことになるんだけど・・・」

友華は陽葵の事情を裕樹に話した。
「・・・そうですか・・・そんなことが・・・」
「詳しくは植松コーチとよく連絡とりあって欲しいの。香奈恵さんていう心理の先生もいるから。私と佳奈は夏で引退だから、葉月ちゃんにもお願いした」
「部活内のことはしっかり見とかないとなあ。智也は大丈夫だと思うけど」
「むしろ陽葵ちゃんのほうなのよ。身体の成長と心の成長がズレちゃってるから、智也君が辛い思いしてもねえ」
「高校生らしい普通の恋愛をして欲しいですよね」
「あんたがそれ言う?高校生らしい恋愛が10人斬り?」
「またそういうことを・・・」


翌日も自主錬後、智也と陽葵はジャグジーで一緒になった。
陽葵も、カウンセリングと通院で練習を休んでいる分、自主錬にうちこんでいた。そのため、最後に顔を合わせていた。陽葵はいつも微笑みながら
「・・・おつかれさま」
と小さくつぶやき、智也は、緊張した笑顔で
「お疲れ」
と返した。智也には陽葵がデートの件を気に留めていないように見え、少し安心していた。
大会は目前だった。


地域大会で部員は全員順当に県大会へ進出。
美沙は大会新の連発。裕樹、友華、葉月は種目により優勝。下級生も多数が優勝と入賞をした。1年生は遙佳と眞美が複数種目で優勝。陽葵も表彰台に乗った。
そして、男子1年生5泳傑のうち、智也が1種目で優勝。ほか4人も県大会進出はしたが、成績は智也に及ばなかった。陽葵が断言したとおりの結果となった。


大会から一日空いて、すぐに練習が始まった。地区大会、インハイ、JO、国体と9月までよどみなく大会が続く。
しかし、大会の翌日も自主錬はあった。休養の部員もいれば、ミーティング、コンディショニングと水に入らない部員もいれば、泳いでいる部員もいる。とはいっても全員が軽めで終えていた。
智也は裕樹とともにスロー調整で、ゆっくり長くやっていた。
智也が練習を終えてジャグジーに行くと、やはり・・・陽葵が入っていた。
陽葵は微笑みながら
「・・・おつかれさま」
「お、お疲れ」
「・・・練習の成果・・・でたね」
「うん。陽葵ちゃんが言ったとおり。そのとおりやったから。ありがとう」
「・・・」
しばらく無言だったが、智也がその沈黙に耐えられず、ジャグジーを出ようと思ったとき
「・・・どこに行くの?」

・・・?。ジャグジー出て部室に行くんだけどなあ・・・

「・・・デート」
智也は心臓が高鳴った。

えっ、えっ、ええっ!!!

陽葵は、微笑みながら智也を見つめていた。
智也は目をそらしながら、
「えっ・・・えーと」
長く考えてから
「・・・沖縄」
陽葵は意外な答えに、少し驚いた顔をみせたが
「・・・そう。頑張んなきゃ」
と言って、笑みを浮かべながらジャグジーを出て行った。
智也はまたも、言ってしまってから事の重大さに気づいた。

テンパってとんでもないこと言っちまった。インハイ本選って、かっこつけすぎたあ!チャンス棒に振った・・・行けるわけないじゃん。

なんか、純粋っていうのか、ひたむきに頑張ってる。彼なら男の子でもあまり緊張しないな。
ああいうことあったけど、あれがきっかけで、身体のことが解決して、気持ちが楽になって練習に専念できてる。
あの男達とは全然違う。そう思っていいのかな。
普通に男の子は・・・そういった気持ちはあるだろうな。彼はどうなんだろ?
でも、大きな目標突きつけられちゃった。沖縄・・・本選かあ。とにかく頑張らなきゃ。

裕樹はニヤつきながら
「ふうん。なかなか感心じゃないか」
「そんな・・・また・・・」
「まあ、陽葵ちゃんでも厳しいよ。全中からインハイは世界が変わる。0.01秒が恐ろしく遠い。標準記録までは無理だろうな。ましてや・・・」
智也は大きなため息をついた。
「ため息ばっかりだな。とにかく、花火上げちまったんだ。目標にして頑張ろうぜ」


結局、インターハイ本選へは、美沙、裕樹が順当に進出。葉月も滑り込んだ。友華は標準記録に一歩及ばず出場を逃した。2年生は昨年の優勝者を始め多数が出場。1年生は遙佳と眞美が出場を決めた。
陽葵と男子五泳傑をはじめとする他の1年生は標準記録に一歩及ばなかった。
今回は沖縄と遠隔地のため、コーチの恭子と出場選手のみが遠征。部長の友華、僚太も帯同せず引退。男子の次期部長、裕樹が部員を引き連れることになった。

いつもの夏のように、水泳界のニューヒーロー、ニューヒロインが誕生する。


続編 追加: 2018.05.29


沖縄のきつい日差しの中、インターハイが開幕した。

開会式後、裕樹と葉月がミツルとの再会を喜んでいた。
「いやあ、今年は後輩に強い奴がおって焦ったけど、なんとか取りこぼさずにすんだわ。葉月ちゃん約束通り頑張ったな。すごいやん」
「うん・・・ちょっと頑張っちゃった」
裕樹はいつもと違いしおらしく、ほのかに頬を染めた葉月を見て、その感情に気づいた。
「裕樹君は順当やな。今年は一発やりたいとこやな」
「まわりも強くなってますからねえ・・・なかなか」
「ほな、みんな待ってるから。がんばろな」
ミツルはチームメートの元へ向かった。

KS学園の部員はプールを見学してから、軽いコンディショニングをして宿舎に向かった。
「ふふーん」
「な、何よ」
「うふ、うふ、うふふ・・・」
「だから、何よっ!」
まわりにいた部員がハッとして葉月の方を見た。
「べーつに~い」
裕樹は含み笑いをしながら歩いて行った。

葉月も自分のことになるとからっきしか。ミツルさんも朴念仁だろうなあ。なかなか進まないか。

「どうしたの?葉月。裕樹がまたなんか変なこと言ったの。試合前だっていうのに」
美沙が心配して聞いたが
「たいしたことじゃないのよ。いつものことよ」


競技が開始され、ミツルは善戦するも決勝には届かず、高校の水泳生活を終えた。
裕樹と葉月も決勝には届かず。
昨年の全中優勝者で、すでに日本選手権出場の眞美は順当に優勝。
そして今大会で一躍名をはせたのは遙佳だった。1年生にして優勝、高校の新星と囃された。
さらに、中央女学院の優菜が優勝を果たし、遙佳と並んでニューヒロイン誕生と話題になった。
しかし、本命視されていた美沙は、一昨年の全中の時と同じように、直前に成績を落とし、決勝進出はするも成績は芳しくなく期待外れと囁かれた。
良くも悪くも、この4人が注目の的となった。
美沙は目に涙を溜めながら、1人会場を後にした。
葉月は声もかけられず部員とスタンドで遙佳を待った。
遙佳は関係者に囲まれながら、静かに会場を後にする美沙の姿を見ていた。


遙佳が自室に戻ると、テラスに美沙が俯いて腰掛けていた。
「美沙先輩・・・」
「・・・遙佳ちゃん・・・」
美沙は必死に涙を拭うが、溢れ出てとまらない。
遙佳が美沙に駆け寄り、美沙の肩を抱いた。
「なんで・・・こんなこと・・・なんでなんだろう・・・もう私、やめたい・・・」
「苦しいですよね・・・少しでも楽になって、それから考えましょう」
「もう水泳やめる・・・2年前もこんなことがあったでしょ。もう耐えられない」
「でも、あのときは、乗り越えたじゃないですか」
「あの時は・・・」
「・・・裕樹先輩・・・ですよね」
「・・・知ってるの?」
「私、わかってなくて・・・あんなこと・・・しちゃったんです。ごめんなさい」
「それは、遙佳ちゃんが謝ることじゃない。私たちの問題だから」
「だから、あの時と同じ。裕樹先輩がいる。だから・・・」
「それはだめよ!それは・・・」
「裕樹先輩ならなんとかしてくれます。だから・・・」


最終日の夜、裕樹は自室で全日程の記録と提出書類の整理をしていた。
他の部員は束の間のリゾートを楽しんでいた。
部屋のチャイムが鳴った。
「ハイ?」
「あ、わたし」
裕樹が扉を開けた。
「どうしたの?せっかくなんだからみんなと・・・」
「そんな気分になれなくて・・・」
裕樹と美沙はベッドに腰掛けた。
「こういうこともあるさ。そう、昔だって」
「今は状況が違う。今の私は成績を出すのが使命になってる」
「思い詰めたらだめだよ」
美沙が涙を流しながら裕樹に寄りかかってきた。
「このままじゃ私・・・」
美沙は裕樹の胸に顔を埋め泣き出した。
「ううっ・・・うっ・・・」
裕樹は美沙の背中をさすった。しかし・・・戸惑って手をとめた。

あれ?このライン・・・競泳水着を下に着てる?なんで?

美沙は裕樹の手をTシャツの中へ誘った。
裕樹は久しぶりの美沙の感触に興奮を覚えた。
昔より筋肉がついて張りがある。乳房もかつての柔らかさはなかった。
「あの時みたいに・・・私の初めては終わってない」
「お、俺には・・・」
美沙は顔をあげて裕樹を見つめた。
「わかってる。一晩だけ・・・恋人にもどりたい。お願い。あの時・・・まだ私の中で終わらすことができてないの。お願い・・・」
美沙の頬に涙がつたう。
この状況で、美沙を抱かずにいられる男などいない。
二人はベッドに倒れ込んだ。

美沙が裕樹の部屋に入るのを見届けてから、遙佳は部屋へ戻っていた。

あれ?でも美沙先輩、下に水着着てた?

2人は長い時間、強く抱き合っていた。
灼けた肌をさすりながら、お互いの香、火照り、肉体を感じ合っていた。
初めてのときを最後に、肌と肌は、巡り会うことがなく時が過ぎた。
お互いをずっと求めていた。でも、もう時が経ちすぎていた。
過去の愛を2人で取り戻して結末をむかえようとした。

美沙が裕樹の首に腕をまわし、唇を合わせようとした。
しかし、思わず裕樹は顔を背けてしまう。
「ごめん。それは・・・」
裕樹は美沙の顔をよけて、首筋に唇を這わせていく。
美沙のうなじから、汗とボディソープの混ざった香りがした。
裕樹に熱いモノがこみあげそうになったが・・・すぐに冷めてしまう。
「ああっ・・・うう・・・」
美沙の口から緩やかな吐息が漏れる。シーツを力強く掴んでいた。
裕樹は美沙の乳房を下から包み込み、愛撫しながら舌先で乳首をくすぐった。
「あん・・・ああ・・・はあ、はあ・・・」
美沙は静かで穏やかな吐息を漏らした。
美沙と裕樹の全身に血が巡り出す。
美沙の乳首の先が勃ち始め、裕樹のペニスもムクムクと勃ち始めた。
裕樹は舌先に硬さを感じ、美沙は肌に裕樹の熱いモノを感じた。
お互いの身体が温もっていく。
しかし、汗はよく効いたクーラーのなかですぐに蒸発していく。
2人の乾いた肌が触れあっていた。

裕樹の唇が美沙の下半身へと降りてくる。
乾いたままのスリットを通り過ぎ、もうしわけ程度に濡れた陰部に唇を合わせる。
裕樹の舌先が、美沙の薄い秘肉を舐めていく。
「ああ・・・うう・・・」
美沙の秘粘膜がじんわりと濡れてきた。
裕樹の嗅いだ蜜液の香は、少女のときの甘酸っぱさとは違って、大人の女の酸っぱさだけを感じた。いや、酸っぱくしか感じられなかった。
美沙の膣から滲みだしてきた蜜液と、唾液を混ぜながら裕樹は美沙のスリットに舌先を滑り込ませていった。蕾を舌先でとらえ、愛撫した。
「ああっ・・・ああ・・・はあ、はあ・・・」
裕樹は美沙の膣口に、自分が入るに十分な濡れを確かめて、ペニスにコンドームをつけた。

裕樹が美沙に深く入っていく。2人はひとつになった。
しかし、湧き上がる感情も、溢れ来る快感もなく、お互いの体温だけを感じていた。
「ああっ・・・うう・・・はあ、はあ・・・」
裕樹は悦びを感じること泣く、ゆっくりと腰を動かしていった。
しかし、あの時の、本気で美沙を好きになった感情を思い出して、涌き立たせていった。
「うう・・・うう・・・はあ、はあ・・・」
苦しみの中の快感を感じながら、ゆっくりと美沙の中で射精した。
すぐに裕樹は美沙の身体から離れた。股間のたぎりはすぐに冷めて、コンドームにはもうしわけばかりの精液がたまっていた。

美沙はジャージを着終わって、整えた。
「やっと私の初めて・・・が終わった。それと、やっと初恋も・・・終わった・・・」
「俺のせいで・・・苦しめてたな。ごめんな。こんな自分のせいで」
「ごめんなさい・・・でも、ありがとう・・・」
美沙は部屋を出て行った。

気持ちが洗われた・・・今日を忘れて自分の道を進んでいこう・・・次は逃さない。

こんなに苦しいなんて・・・今まで俺は何をやってきたんだろう。
友華先輩との幸せをつかんで、美沙の苦しみなんてわかっていなかった。
彩美先輩、愛音先輩、有妃先輩、亜利沙先輩、優菜・・・これまで何を考えてたんだ。セックスをおもちゃにしていた。彼女たちはどう思ったんだろう。彼女たちを踏みにじっていた。今になって、こんなこと・・・。
イケメンなんて言われて思い上がって。優秀って言われてのぼせ上がった。最悪だ・・・

裕樹はベッドの中で涙を流した。裕樹は友華を強引に奪った後悔に再び襲われた。

あのときの自分は本気だったのか。今は先輩がすべてだ。でもあのときは、他の女達と同じくらいにしか思ってなかった?そんなことは・・・ホントに好きだった。でも、俺はあんなこと・・・本当に大切に想って愛があれば、あんなことはしなかったはず?俺は・・・

裕樹は眠りにつけないまま、南国に輝く太陽の光が部屋に差した。





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