トップ 投稿小説ライブラリー 「競泳部員恭子 高一 後編」 アクアピオン様
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「競泳部員恭子 高一 後編」 著者: アクアピオン様 投稿日: [2006.06.10]


5月の下旬になり、ようやく恭子が復帰したと聞き、森本は放課後、様子をみようと恭子のクラスへ行ったが、部活に行ったとのことだった。
復帰早々頑張るなあと思い、新しい顧問の河本のところへ行った。
職員室で、河本は森本が入室したのをみて、すぐ意図を察知して、恭子が部室へ行ったことを伝えた。
それと補習授業は、各教員が適宜行い、恭子も飲み込みが早くて順調ではあるが、ちょっとフォローをしてやってほしいと頼まれた。
確かに2ヶ月スタートが遅れると大変だな、と思いながら部室への通路を、歩いていった。

すでにプールでは、泳ぐ水の音が聞こえるが、どうも一人ではないようだった。
プールサイドに出ると、女子の体育教員の大嶋が立っていた。
「あ、のぞきだ。高瀬さん。気をつけて!」
大嶋が怪訝な顔で森本を見た。
「こら!佐々木、初対面の人に誤解されるような言い方するな!」
大嶋はなんとなくその印象がのこっていて
「えーと、森本君だったけ。」
「あ、はい。別に水着姿をのぞきにきたわけじゃありませんから」
「のぞき、だなんてひどいわね。ホワイトナイトじゃないの」
「こーゆう娘なんです。」
「佐々木さん!アップだけだったけど、今日は初日だからこれであがって。高瀬さんはこれからよね」
高瀬は大きく手ををあげた。
そして、恭子はプールの端のはしごから、ゆっくりあがってきた。
エレッセコンポジットスキンに包んだ身を、水を滴らせながら歩いてきた。
ちょうど胸のところにスキンがつかわれており、小指大のポッチがくっきりとあらわれていた。
「疲れてない?」
「ハイ、ちょっと物足りないくらいです。」
「でも最初はそのくらいでね。」
「あんまり見たことない水着だな。」
「あんたは、そんなとこばっかりみてるのね。」
「そういうわけじゃないけど・・・」
「臨時収入が、がっぽりはいっちゃったからね。これまでT−LINER気に入ってたんだけど、あれ着てて、にか・・・・、いろいろあったから、ちょっと気分変えようと思ってね」
恭子が思わず、2回も、と言いかけて、二人とも大嶋がいたので焦った。
森本は、何より恭子が元気そうで、ほっとした。
そして、泳いでいる高瀬に目をむけた。
「あの人、ちょっとすごくないか?」
「胸が大きいとか、おしりがかわいいとか?いやねえ、もう」
「あのな!そうじゃなくて泳ぎ。佐々木も、祐子も、たいがいすごいと思ってたけど、ありゃ半端じゃない」
恭子は、森本が、『祐子』と呼び捨てにしたことに、ちょと胸がチクッとした。
タオルをまいてベンチで休む恭子に代わって、大嶋が説明した。
「彼女は、有名なスクールの選手コースに在籍しているの。」
男子水泳部がなかば永久休部になり、女子一人となった水泳部で、恭子が復帰するにあたって、やはり本人が水泳を続けたいと希望したら、学校側はそれに応えようとした。
顧問は河本が就いたものの水泳経験がないため、専門ではないが、水泳のできる大嶋がコーチとして就き、時には練習を一緒に行うことになった。
そして、大嶋のツテで3年生の高瀬が部に加わることになった。
高瀬は、日本選手権や国体を目指す選手で、そちらの予選には、所属チームから出るが、総体は高連での登録がいるため、東高の部員として登録し、今年は総体予選も目指すことになった。
「こいつ、先生をのぞきにきますよ。気をつけないと!」
「そればっか。おれはスケベの権化か。でも俺は、出れる大会がないんだよな。休部で登録できないし、マスターズは年代がないし。国体なんておよびじゃないし。だいたいがどれも中途半端なんだよな。陸上部には大塚先生にも誘われているけど、長距離はトレーニングしてて、得意と言ったって、タイム的にはなあ。駅伝メンバーくらいならともかく、1万のベストが35分じゃ先が見えてるし。」
「あら、でも結構いいタイムじゃない。それぐらいの力なら何でもできるでしょ」
と大嶋は言った。
そんな話をいろいろしていたら、高瀬が練習を止めてあがってきた。
高瀬は、スイミングスクールのデザインのハーフスパッツタイプの競泳水着を着ていた。
「あんたの好きなハイレグじゃなくて残念でした。」
「おまえは俺の人格を、どこまでおとしめる気だ。」
「あらあら、佐々木さん、そんなこと言って。感謝しなきゃダメな人でしょ。」
「ええ、まあ・・・」
といって、少し恭子は、頬を赤らめていた。
「高瀬です。はじめまして。あなたのことは、聞いてるわ」
「何か怖いな。」
「何言ってるのよ、いい話ばかりよ。」
いったい、どんな話が伝わっているのか、よくわからなかったが、高瀬は軽くストレッチをしながら話した。
恭子には聞こえにくいように、森本のほうを向き、
「佐々木さんの事件のとき、あなたが駆けつけたんでしょ。それにあとのことまでお父様にお願いしてあげたんだって?私、保健の先生と仲良くて、今回クラブに参加するとき聞かせてもらったの。あんな事件のときに、友達が来てくれたのは、安心できるものらしいの。入学してすぐのときで、周りはしらない先生や生徒ばかりじゃない。私は、あなたのおかげで、佐々木さんはよくなったと思うわ。でも、あなたには、憎まれ口たたいちゃうのよ。照れ隠しで。佐々木さんも感謝してると思う。あっ、練習再開しなきゃ、時間なくなっちゃう。あっ、あなた、水泳もマラソンもそこそこだったら、両方あわせてやったら。」
と言って、1メーターくらい飛び上がって、見事なジャックナイフを見せて飛び込んだ。
「しかし、なんちゅー人だ。」
「世界が違うわね。」
森本は、大嶋から、その後のことをいろいろ聞いた。
部室工事も予算を使う必要があったので行いはしたが、男子水泳部は事実上、廃部のため、間仕切り工事などはせず、プールの安全のため、セキュリティシステムを導入し、職員室からの見通しがよくなるための、校舎外壁工事に切り替えた。
「セキュリティできたから、あんた、へんなこと考えないようにね」
もう森本は、恭子の言葉を無視した。それはそれで、恭子はムッとした。
「あ、高瀬さ〜ん、時間切れ。」
と、大嶋が大声で高瀬に告げた。
すでに5時になっていた。練習時間も早く終わることになったらしい。
高瀬は、さっさと水からあがり、まったく息も切らさず駆けていき
「おつかれさまでした。」
と部室に向かった。
その後を、恭子がゆっくり歩いていった。
「高瀬さん、この後スクールなの。今のがアップで次が本チャン」
「げっ、まだ泳ぐんですか?すごいな」
森本は、大嶋と、職員室へ向かう廊下を歩いていた。
「森本君、公共温水プールのマスターズに在籍してるとか?」
「はい。そこしか居場所が無くて。」
「私の知り合いで、そこのメンバーがいるの。高井さんて言うんだけど。」
「知ってますよ。いつもタイム取るとき、一人、千五や四百とってますね。」
「彼、トライアスリートなのよ。君もどう?何か話聞いてたら向いてるかなって」
「鉄人レースですかあ・・・。想像もしなかったな。僕にできますかねえ。」
「それは努力次第だけど、十分だと私は思うわ。」
思いがけない提案に、森本は少し興奮を覚えていた。

森本が学校を出ようとしていると、恭子が追っかけてきた。
「ねえ、河本先生から話、聞いた?」
「いろいろ聞いたけど、何の件?」
「勉強の事なんだけど、補習とか休日にまでしてもらって、ある程度は追いついたんだけど、ちょっといくつかつまずいてて、あとそこだけなんだけど、教えて貰えない?」
「そりゃいいよ。先生からも頼まれたし。これまでの学校の授業ならなんとか。」
「ありがとう。学校じゃ、まとまった時間もとれないし、今からでもいい?」
「かまわないけど、どこいこ?マクドや喫茶店じゃ騒がしいし、何より俺、たばこの匂いとかだめなんだよな。」
「うちでもかまわない?」
「そっちがいいんなら、俺はかまわないよ。」
「じゃ悪いけど、いまから一緒に来てくれる?」
森本は、高校生になってから買った携帯で自宅にその旨を連絡した。

恭子の自宅は高層マンションの中階にあった。
エントランスはオートロックになっており、そこで恭子は自宅のコードを入力し、エレベーターへと二人は乗り込んだ。
恭子の家では、恭子の両親が玄関で出迎えてくれ、これまでのことで森本に礼をいい、父親が深々と頭を下げた。
さすがに森本は恐縮してしまった。
恭子は、自分だけで悪いが着替えさせて欲しいと、森本を居間に残し、部屋に入っていった。
居間では恭子の父が森本に向きあい、恭子の母がお茶を運んできて横に座った。
「本当に、今回のことはなんとお礼をいったらいいか。こんなに明るく回復したのも君のおかげです。」
「いえ、僕は何もしてません。父が少し口利きをしただけですから。彼女が順調に回復できたのも研究所のドクターのおかげですし。」
「でも、普通だとそういった診療をうけることもないし、何よりあのときどうしたらよいかもわからなくて。
本当にたすかりました」
「そこまでおっしゃられると恐縮です。」
「今日はそれに勉強のお手伝いまで・・・。どうぞ食事もしていってください。たいしたものはありませんが」
本当に森本は恐縮してしまっていた。何しろ、あの事件のようなことも、自分はしてしまっているのだ。
恭子の両親にここまでいわれてしまい、良心の呵責を感じていた。
恭子が着替えを終わり、部屋から顔をだしたので、森本は居間を後にして、部屋にはいっていった。
早速勉強を始めるが、恭子のだす質問に次から次へとわかりやすいアドバイスを行い、ものの30分で終わってしまった。
「なんでそんなに理解してるの。教え方なんか先生よりうまいじゃん。」
「春にヒマで春期講習いって、1年の教科はひととおり終えちまった。」
「へーーー。たいしたもんだね。やっぱあんたって医学部ねらってんの。」
「それが一番の目標。」
「優秀だねえ。でもお父さんもそうだし。お父さん精神科医でしょ。あんたは何?産婦人科?」
「言ってる意味はよくわかるけど、イヤになるらしいよ。特に中高生を診るのが。性病と堕胎ばっかだって。それに出産てやっぱ女性だし、女性の医師が中心じゃないかな。外科は、白い巨塔を読んでからやめた。やっぱり話とか聞く機会も多いし、学会誌なんかもみちゃって、精神科医がいいかなあと思ってる。大変だろうけど。まあ、思い出させて悪いけど、佐々木の事件もあって、ちょっと勉強もしたし。」
「そっか、私にしたことへの罪滅ぼしね。あ、2年前のことじゃないの?」
「・・・・・」
森本は、胸を押さえてうつむいた。
「やーね、冗談、冗談。いつもごめんね。こんなことばかり言って。
でも、ホント、感謝している、ありがとう。」
「なんか気持ち悪いな。変にしおらしくて。じゃあ例の件もこれでチャラ・・・」
「そうはいくか!」
「あ、やっぱり」
「そういえば、森本のお父さんって、△△総合病院の部長さんだったけ。」
「そうだよ。」
「祐子のお母さんもそこじゃなかったっけ。」
「お母さんって仕事何してるの?」
「あんた2年近くつきあってて聞いてないの?」
「うん、祐子の家で会いはしたんだけど」
「へー、彼氏として紹介されたんだ」
恭子は、胸のはしっこが、ズキッとした。
「なんか3交替でとかいってて、夜勤もあるようなことをいって・・・、あー、そうか!」
「それに、今年、看護師さんの試験に合格したとか。これまでは看護助手とか准看護師さんだったんで、収入も少なくて、それで中学の時、練習費とかに苦労して、あんたの毒牙にかかちゃったわけ。」
「おれは化け物か」
「でも、そういったお母さんの苦労があったから、あんた達、巡り会ったのよ。」
「何がきっかけになるか、わからないもんだなあ。」
といいつつ、やはり思いは複雑だった。これまでの秘め事もやはり、不遇な環境につけこんで自分の欲求を満たそうとした・・・。

森本はマスターズの練習に参加していた。
これまで、出身中学の練習日にあわせて、公共温水プールに通っていたが、今日は中学の練習がなかった。
むしろ、ないために練習コースが多く取れ、長距離の練習には最適だった。
ここのマスターズサークルでは、トライアスリートは高井だけだったが、ライフセーバーやアクアスロンの選手も含め、長距離の練習をするメンバーが集まり、そこに森本が加わっていた。
練習自体はインターバル中心で、距離も2千〜3千程度だったが、時間のない社会人が多く、1時間足らずでその練習量をこなしていた。
まだ先ではあるものの医学部受験をめざす森本にとっても、それは都合がよく、最初の頃は息があがりっぱなしだったが、2ヶ月足らずで練習にもなれ、千5百程度は余裕で泳げるようになっていた。
社会人の短い練習時間にあわせるため、夜遅めの時間になることがおおく、中学生の練習とあうことがほとんどなく、祐子の姿をみることもなかった。
高井からは、初心者向けのレースへのエントリーを勧められ、出場することにした。

祐子は、2年生になり、6月からの本格的な試合のシーズンを迎え、主力選手として練習に励んでいた。
チームウエアや、用具類、練習費用は、母親の収入がこの春、大幅にアップして安定しだしたこともあり、頭を悩まさずにすんだ。
また、先の高校受験を見据え、塾にも通い出した。しかし、気がかりなことがあった。
恭子がその後回復しているのか、そしてもうひとつ、森本がプールに顔をみせていないことだった。
森本の自宅に連絡するのも憚られ、恭子の状態もわからず、どうしたらよいかわからなかった。

7月に入り、ある日、帰宅後、母親が帰っていた。
「ただいま」
といって部屋に向かおうとすると、
「ちょっと、ちょっと、祐子、森本君のことだけどさあ」
「ハア」
「何、気のない返事して。まさか別れちゃったの?」
「そんなことないわよ!先輩が何よ」
「なんかな〜。彼のお父さんの仕事、知ってる?」
「あ、そういえば聞いたことない。」
「あんた達、つきあって結構になるんじゃないの?あんたは向こうの両親には会ってないか?」
「一度、行きかけたことはあったんだけど、うちにきちゃった。」
「私がいなけりゃそのほうが気楽だもんな。まあそれはいいとして、彼って××町にすんでるの?」
「そうよ。」
「うちの病院の職員名簿見て、ふと思ったんだけど、彼のお父さん、森本部長じゃないかしら。」
「それってお医者さんってこと?」
「そりゃそうよ。精神科の部長よ。ほらこの住所」
祐子は中学時代の名簿をもってきて照らし合わせた。
「あ!一緒。佐々木さんのことを聞いたとき、ちょっとひっかかってたんだけど、そーかー。
あんた!咥えて離すんじゃないよ。」
「なにバカなこといってるのよ。でもそれ知らなかった。そうか、それで佐々木先輩のとき、先輩が力になったんだ。」

母親との会話で森本の話になったので、思い切って自宅に電話してみることにした。
しかし、未だ帰宅していなかった。
若い女の子らしい声だったので、妹さんだろう。帰ってきたら、連絡するように伝えてくれると言ったので、携帯の番号と、遅くなってもいいので連絡して欲しいと伝えた。
10時半ごろ、携帯が鳴った。
「もしもし、祐子ちゃん。電話もらったみたいで。遅くなってごめんね」
「何か久しぶりですね」
「ごめんごめん、ちょっとここんとこバタバタしちゃって・・・。」
「バタバタして、忘れられてたんだ・・・」
「いや、ホントごめん、ホントに忙しくて。佐々木のこともあって。」
「冗談です。ちょっとからかっちゃった。」
「何か、祐子ちゃん、佐々木化してるね。」
「その佐々木さんなんですけど、大丈夫ですか。」
「何とかして欲しいくらい大丈夫だよ。部活もしてるし、授業にも追いついたし。ちょっとそれで勉強を見てやったりしてたんだ。」
「そうですか。よかった。一度会いに行きたいな。」
「それこそ、部活でも自宅でも大丈夫だよ。」
「ところで、次の日曜日、先輩あいてます?私、先週の市大会、優勝してブロック地区大会に出るんですけど、応援に来て欲しいな」
「ごめん、その日、俺も試合なんだ。」
「試合って?先輩でられる大会ありましたっけ。」
「トライアスロンに出るんだ。」
「えー、いつからそんなの始めたんですか。」
森本はいきさつをはなした。
「そんなわけで高井さんに自分もでるからでてみろって。経験がものを言うから、とにかく参加しろって。それとトライアスロンって、出場枠少なくて選考になるから、手当たり次第エントリーしろっていわれてだしたら、全部選考通ちゃって、これから2週か1週に1回のペースで大会なんだ。」
「でも凄いですね、鉄人レースなんて。一度見に行きたいな。」
「それがさ、今度のレースは東京なんだけど、あと5戦は、新潟、静岡、香川、佐賀、愛知なんだ。遠征になっちゃうんだ。」
「地方ばかりなんですね。」
「まあ、あまり東京湾では泳ぎたくもないし。」
「なかなか、会う時間ないですねえ。」
「あ、でも俺、携帯あるんだ、番号とメアド教えとくよ」
お互いの連絡先を教えあって電話をおいた。
「今年の夏は、会える時、ないかな〜」と2人はつぶやいた。

夏になって、それぞれ大会に出場した。

森本は、初戦優勝。
高校生の部が人数は少ないとはいえ、27人中の1位だった。
この大会がインターハイの関東地区予選であることを表彰で知った。
ほかの入賞者からも、次は本戦で、といわれたが、学校にはトライアスロン部はなく、無理じゃないかと思ったら、高井が大嶋に話をしてみると言った。
高井をはじめ、マスターズサークルのメンバーはこの勝利を大いに祝してくれた。
9月初旬までに5戦をこなし、20才未満の部では3位1回、すべて10位以内という好成績だったが、さすがに最終戦後はヘトヘトで、練習を中断していた。

祐子は、地区ブロック大会で6位に入り、ぎりぎりで都大会へとすすんだ。
さすがに、次は全国大会ということもあって、都大会は予選敗退だったが、国際水泳場での大会で、ベストも更新し、ひじょうに満足のいく大会だった。

恭子は、体調が今ひとつで、大会では波に乗りきれず、市大会での敗退となってしまった。
本来の実力からすると残念な成績だったが、4月の事件のこともあり、練習量も足らず、仕方がなかった。
しかし高瀬の活躍で、そのサポートに就き、インターハイまで随行できることとなった。

森本は、学校で大嶋に体育教官室に来るよう呼ばれた。
教官室では主任の大塚もいて、笑顔で森本を迎え入れた。
夏の活躍が耳に入っているらしく、オフシーズンには陸上部の助っ人を頼むと言われた。
本題はそのことではなく、インターハイの件だった。
森本の活躍は、職員の間でも話題になり、是非出場してもらいたいということになり、トライアスロン部を設置し、校長も喜んで許可をだしたのだった。
特に、森本は4月の件があったため、校長以下、みな気にしていたそうだ。大嶋が
「それでね、部というからには部室とか練習施設が必要なんだけど、急な話でどうしようかと思っていたら、水泳の練習があるでしょ。だから、旧の男子水泳部をつかってもらって、プールで練習してもらったらどうかという話になって。」
「それはありがたいですね。ランもトラックを使わせてもらえれば。」
「大いに結構。大会に出てくれてもいいぞ。」
「まあそのあたりは追々。でもプールは練習といっても一人ですし、マスターズはそれ向けの練習になってますからね。」
「でも、時間帯が全然ちがうでしょ。学校は3時半から5時半。そっちは8時半からでしょ。それに高瀬さんと
佐々木さんがいるし。どちらかというとあなたが追っかける側だから目標にはいいんじゃない。」
「どちらかといわなくても完璧に追っかける方です。だったら部室の工事、してたほうがよかったですね。」
「そんなもの、森本と佐々木だったら、いらん、いらん」

恭子は、トライアスロン部新設の件を聞き、少しうれしかった。
自分と高瀬だけだったところに森本がやってくる。
ちょっと寂しい練習がにぎやかになる。
そして、高瀬は3年生で9月末に引退し、自分一人となるところだった。
でもなにか、変に森本を意識してしまっている。自然に、自然に。

9月中旬にトライアスロン部が正式設置となったが、特に何の準備もなく、旧男子水泳部に、そのままフェイドインしてしまった。
森本はかつて一度きり来た部室に入り、自転車やランニング用品を置いた。
そして競パンに着替え軽く泳ぐことにした。
森本にとってはまだオフシーズンではなく、10月のインターハイに向けての調整があった。
一度水泳部に入りながら、一度も泳ぐことの無かったプールにようやく入れる。
更衣室を抜け、浴場を抜けプールサイドにでた。
すでに高瀬と恭子は練習していたが、まずはウオームアップからはじめた。高瀬が
「ようこそ。凄い活躍ね」
「高瀬さんとじゃ比べものにならないですよ。」
「でもインターハイは決勝がだめだったし。同じインターハイ、頑張ってね」
「ええ、どこまでやれるか、わかりませんけど」
恭子は、前を向いたままで、そのままスタートしていった。
森本は、気づかなかったのかな、と思った。
恭子は、なぜか胸がドキドキし、声をかけられなかった。
泳ぎながら、プールサイドにやってきた森本の体を思い出し、ひょろっとしてたのが、ずいぶんたくましくなったなあ。
胸も、肩もすごい筋肉がついている。
真っ黒に日焼けして精悍さもでてる。
やだ、男の子の身体のこと考えてるなんて・・・。
何か泳いでて苦しいばっかり。
「じゃあ、森本君。私と、インターバルまわす?」
「ついていけるかな。でも、こんなレベルの人と練習させてもらえることってありませんから、頑張ってみます。」
「えっと、次の0から、100m、1'30で10本、レスト1'30で3セットね。森本君10秒後に。ハイ、スタート!」
と言って、高瀬は飛び出していった。
「・・・・・」
森本は絶句したが、始まったものは仕方がない、とにかくスタートしなきゃ。
しかし、泳ぎながら、こりゃほとんど連続泳だな、と思った。
実際、最初はレストを5秒ほどとれたが、後半はいっぱいで、最後の方は中間レストを割り込んだ。
1セット終わって、つぎまで30秒。
しかも最初のペースなんて無理。
ここで抜けようと思ったが、
「2セット目、行くわよ。」
とスタートしてしまい、仕方なく2セット目に入った。
2セット目の最後に、猛烈なスピードで高瀬が横を過ぎていった。
2セット目終了時点で、高瀬は、3セット目をすでにスタートしており、森本は慌てて3セット目に入った。
3セット目に2回ほど抜かれた記憶があるが、もはや自分が何本泳いだかわからず、練習を終えた。
「大丈夫?無理しないで、途中苦しいときは1本抜いたり、レストとればいいのよ」
「ハア、ハア、ついていくことだけ考えてしまって、ハア、でも凄い、ハア」
「今日のメニューは軽いものじゃないから・・・。もう少し、軽めのほうがよかったわね。まだ大会終わってそんなにたってないんでしょ。」
「ハア、次の大会、近いですけどね、フー、でも40分足らずで3千近く泳いだのか、高井さんとの練習でも、こんなのなかったや。」
「まあ、よくクールダウンしてね、自分のペースで。」
高瀬が軽く流して泳ぎはじめた。
横のコースで、その会話をじっと恭子が聞いていた。
森本は、恭子が何も口を挟まないのを、すこし不審に思った。
なんか絶対チャチャいれると思ったが。
恭子は森本の視線をフッと外し、泳ぎ始めた。
しかし、森本が見てもフォームがバラバラだった。
何か解せない感じがしたが、身体が冷えるとまずいので、すぐにクールダウンに入った。
しばらくして練習が終了し、高瀬はスイミングスクールへと急いだ。
森本も、おもむろにプールから這い上がって、部室につながる浴場へと向かったが、恭子があがってこなかった。
何かあったのかと思って、プールの方を見たら、恭子もこっちをみていた。
「大丈夫か?どうかしたか?」
恭子は手を横に振った。まあいいかと、森本は浴場へ入っていった。

恭子は、高瀬がすぐに行ってしまい、森本と二人になったら、急に居心地が悪くなり、先にプールサイドにあがった森本に、競泳水着姿をみられるのが恥ずかしくなってしまい、プールから出られなかった。
森本の背中を見て、どこよりも一番筋肉がすごく、足も太くなっているのがわかった。
それを見ていて、振り向いた森本と視線があってしまった。
森本は、私の具合でも悪くなったのかと思ったようだったが、先に行って貰おうと手を振った。
そしてプール端のはしごから、プールサイドにあがった。
恭子の競泳水着はT−LINERになっていた。

恭子は、自宅での自室の机で考え込んでいた。
今日はいったいどうしてしまったのだろう。
いつもの自分らしさがない。
森本が来たらいろいろ言ってやろうと思ってたのに、何も言えなかった。
体調が順調によくなってることも話さないと。
でも顔を会わさないように帰ってきてしまった。
どうしちゃったんだろう、私。森本を見るとドキドキしてしまうし。
・・・惚れちゃったの?でも、
祐子の彼氏だし・・・。
なんでこんなことで、悩まなきゃならいのよ。
だいたいあいつは、私にわいせつ行為をした奴。
でも、4月の事件で私を助けたのはあいつ。
祐子ちゃんとの仲をとりもったのは私・・・。
あー、もう、なんでこんな・・・。
恭子は、森本への恋愛とまでは行かないが、何か複雑な気持ちと、後輩の祐子への思いやりと、その反面、森本の気持ちをつかんでいる事への嫉妬心とが混ざって、混乱していた。
恭子はパソコンを開き、検索ページをあけた。


高瀬が引退し、森本のインターハイがいよいよ1週間後にせまっていた。
今日は土曜日だったが、3種目の最終調整がしたいので、プールの利用許可をとった。
この時期でも本戦は海で行われるため、水温にも慣れる必要があり、プールの水温は調節しなかった。
そのかわり浴室だけは湯をはって、ぬくめておいた。
自転車の調整も行い、ランニングも行った。
そして、トライアスロンウエアの上にウエットスーツを着て、プールへ向かった。
そこで、森本はジャージ姿の恭子をみてびっくりした。
「どうしたの?練習?」
「うん、そっちがつかうって書いてあったからついでにと思って。」
「でも、今日は本番想定して、水温そのままだぜ。」
「じゃあ、ちょっと着こんで入るようにする。」

森本はゆっくりとプールに入った。
ウエットを着ても、水は徐々に入ってくるため冷たいことは冷たい。
冷えないうちに、フォームチェックをはじめた。
そのうち、恭子がプールサイドに姿をみせた。
恭子はアリーナエールブルーのロングスパッツに身をつつんでいた。
さらにもう一枚下に着ているようだった。
しかし、それでもこの水温は厳しいだろう。
森本の身体は300mほど泳いで少し寒さがましになっていた。
恭子が隣のコースで、ふるえながら、唇を青くしていた。
「あんたよくこんなの泳いでられるわね・・・」
「ウエット着てるしな。でも最初は冷たいぜ。中盤になったら熱いくらいで、後半には汗かいてるけど」
「そりゃ、水泳のマラソンみたいなもんでしょ。あー寒い、身体動かそ。」
恭子が泳ぎ始めた。
それにあわせて森本も泳ぎ始めた。
寒さのせいかもしれないが、やはり今までの恭子の泳ぎには見えなかった。

「俺、もうあがるけど。大会前で疲れ落としとかないと。」
「私もやめ。寒くてやってらんない。」
森本は、何しに来たんだ。
こいつ?、と思いながら浴室にむかった。
その後を恭子がついてきた。
森本はウエットを、シャワールームの桟にかけ、風呂にはいった。
恭子もそのまま風呂にはいった。
「こういうときはこれがないと」
「あー、まいったわ。こんな水温は経験ないわ。」
「まあ、十分暖まらないと、風邪引くぜ」
「そうね」
しかしそう言って、恭子はまた何もしゃべらなくなった。
10分くらいつかって、そろそろでるかなあと思ったとき、恭子が
「逆にあつくなってきちゃった。上、脱ごっと」
といって浴槽の中で立ち上がった。
ちょうど太腿とお湯のラインが同じくらいだった。
ロングスパッツの背中のジッパーを下げ、肩ぐちをずらし、胸から降ろし始めたとき、森本は目を疑った。
恭子が下にきていた競泳水着の色はメタリックピンクだった。
浴場のライトが、その生地をピカピカとてらしていた。
ロングスパッツは膝までおろされ、マーキュラインと同じカットのメタリックピンクの競泳水着が姿を現した。
しかし、こんなものがメーカー品なのか?
恭子がこちらを振り向いた。
表情がいつもの恭子ではなかった。
うつろな目をして森本をみていた。
十分にお湯を含んだメタリックの生地は、恭子の身体にべっとりはりついていた。
普通の競泳水着と違って、胸部がおさえられておらず、そのCカップはゆうにあろう乳房が、その大きさをしっかりと映し、小指大の乳首が突起し、そのまわりの乳輪のツブツブまでもが生地の表面にとびだしていた。
森本は慌てて湯船から出ようと思ったが、恭子が目の前にかがみ込んできた。
そのはっきりと映った乳房が目の前にあった。

恭子は、パソコンの検索サイトから、コスプレショップをみつけ、メタリックピンクの競泳水着を注文した。
ちょっとした、いたづらごころが恭子の胸に浮かんでいた。
祐子に惚れ込んでいる森本をこまらせてやりたい。
と、同時に、祐子とは違う自分のグラマラスな肢体をみせつけてやりたい。
そして、すこしくらいいい思いをさせてやってもいい。
あまり深くは考えてなかったが、森本の練習日を聞きつけて、計画を思い立った。
しかし、重ね着していた競泳水着を脱いで、メタリックピンクの競泳水着で、目の前まできたのはよいが、ここでどうしたらよいかわからなくなった。
別に、祐子の大事な彼氏を、自分がモノにしようとなど思っていない。
恭子は、立ち上がって浴槽の縁に、外側にむかって腰掛けた。
森本は今の私の姿をみてどう思ったのかしら。

森本は、恭子が目の前から立ち上がって横にのいた瞬間、ちょっとほっとしたが、そのとき、陰部がくっきりと生地に映っていたのを見た。
しっかりと生えそろった陰毛の陰も浮き上がっていた。
そして恭子の行った方向をみて、またびっくりしてしまった。
レッグカットが強烈にきつく、ヒップが半分以上はみ出ていた。
そして、恭子が前にかがんだため、水着が引っ張られ、さらに食い込んでいった。
さすがに、森本の股間は、ハーフスパッツのなかでそそり勃っていた・・・。

恭子は、浴槽の縁に腰掛け、下を見て驚いた。
胸はすべてはっきりとその光沢の上にうつしだされ、陰毛の陰も一本一本がわかるほど。
これじゃあ、あそこは・・・。ここからじゃ、よくみえないけど、当然・・・。顔から火が出そうだった。
大胆な行動は、確かに自分の企みだったが、この水着がここまで身体を映し出したのは、計算外だった。
今日、はじめて身につけたばかりで、どんな姿になるか想像はつかなかった。
ロングスパッツの下に着ていて、動くたびにそこらじゅうが、食い込んでくるとは思ったけど・・。
これ、さっき、森本、みてたのよね・・・。

森本は、もう限界にきていた。
理性のリミッターもさることながら、風呂につかりすぎ、のぼせていた。浴槽でバサッと立ち上がって、恭子のほうを見た。
恭子もその音にビクッとして、振り返った。
恭子の顔の位置にちょうど森本の股間があったが、巨大になっていた。
え!何、こんなに・・・・。
見るのはじめてだけど・・・。
やっぱり、森本、興奮しちゃってる!自分が招いたことなのだが、困って、また、前を向き直った。
森本は、ゆっくり恭子のほうへ後ろから近づいていた。
完全に理性のリミッターは振り切った。
半年前に、祐子には少し悪戯したが、それ以降は忙しくそういったこともできず、それも我慢できないようなことではなかったが、やはり、たまにオナニーはしていた。
祐子とのことを思い出してすることが多かったが、2年前の恭子との出来事を思い出すことも多かった。
祐子がいるとはいえ、インパクトの強かったあの出来事は忘れられないでいた。

森本は、恭子の肩の上から胸に手をまわしてきた。
乳房のまわりをさすったが、メタリックの生地が水を吸い、手がなめらかにすべらず、肉もつかみにくかった。
恭子は、ビクッとして、キタッ!と思ったが、森本が手をとめてなにかごそごそし始めた。
森本は、混合栓のそばにあったボディソープを持ち、それを両手にとった。
森本の手は、恭子の両腕の脇をとおり胸の方へまわってきた。
恭子の手はダラン、と力が抜けていた。
ボディソープのついた手は、メタリックの生地の上をなめらかに、柔らかに滑った。
「あっ!やぁん、ん、ううん、うん、う、う、あーん!」
森本の手は、乳房のまわりを揉みしだきながら、その乳首を指先でころがした。
恭子の顔は上向いて上気していた。
こんな感触ははじめてだった。
事件の時は必死で抵抗し、嫌悪感が強かったが同じような感覚ながらも感じ方は違った。
手からは森本の優しさのようなものも感じられた。
「あっ!あああんっ、あん!、ハア、ハア、あぁー!」
恭子は胸の愛撫の快感にひたっていた。

森本は、ボディソープの浸みたメタリック生地の手触りにも驚いたが、恭子の胸の大きさにもあらためて驚いた。
2年前のときは、もうすぐBカップかな?くらいで、それでも、中学2年生にしては大きかったが、今は、Cカップ、いや確実にそれよりは大きいようだ。
祐子の胸も小さくはないがAとBの中間くらいで、それはそれで、自分の趣味にあっているのだが、やはり、恭子とは熟れ方がちがった。
そして、さらに驚いたのは自分の愛撫に恭子が大きな声で、よがりだしたことだ。
これも祐子では経験のないことで、2年前もこんなことはなかった。
森本はますますヒートアップしていった。

森本は、恭子の座った身体を、前から抱きかかえ、落ちていたバスタオルの上に、恭子の頭をおいて、浴場の床に横たえた。
恭子は座っていたときの状態だったので、腰から下を、くの字におりまげ、足をそろえていた。
森本は、恭子の鍛えられているがほっそりしたフトモモをボディソープをつけてなでた。
「あ、ううん。」
小さな声と、吐息が続いた。
そして、膝をつかみ、左右へ開こうとした。
最初は少し力が入ったが、じきに、森本の手のままに大きく膝を開いた。
恭子は、膝をつかまれ、とっさに抵抗したが、あの事件のときとは違い、すぐに力をぬいてしまった。
しかし、森本の目の前にはさっき見た、陰毛の陰や、そして・・・あそこが、生地越しにはっきりうつっている・・・。
ああ!だめっ!見ないで欲しい・・・。
森本は、恭子の、メタリック生地越しの股間を目の前にしていた。
これも明らかに祐子とは違う生えそろった陰毛。
そして、その下には・・・。
まだしっかりお湯が浸みて、くっきりと陰部が形取られていた。
生地越しとはいえ、ここまではっきりみるのははじめてだ。
浴室のライトがよく反射して、きれいに浮き出ている。
スリット下の突起から、下の唇、そして入口までが・・・。
森本は気を落ち着け、あせらず、あせらず、と、ゆっくり上の方から舌を這わせていった。
「あん!いやっ!あ、ああん、んーっ!」
森本は突起をペロペロとなめ、すいついた。
そしてゆっくりとやさしく口に含んで、レロレロした。
「あぁぁ!ううん、いやあ!いやあんっ!ううんっ、やんっ!」
そして大きな唇を舌全体で大きく舐め、真ん中の部分も舐めていった。
「はあ、あん!あ・・・うん、あ、あ!」
森本は、メタリックピンクに映し出された陰影を、直接見たい衝動がおきたが、その瞬間、恭子の膝をとじた。
そしてバスタオルをとってきて、恭子の上半身を抱き起こして肩からかけた。

〈だいたい先輩、趣味悪過ぎです。明るいところで・・・その・・・私の・・・そこを見ようなんて。凄く恥ずかしいんだから!〉

という祐子の声を思い出し、見失いかけた自分を取り戻した。

森本は、恭子に、
「だいぶ身体、冷えてるよ、風呂はいったほうがいい。」
といって、浴槽にはいった。
恭子も、バスタオルを体にまいたまま、浴槽にはいった。
「ごめん、俺また、こんなこと・・・」
「違う、私の方こそ、こんなの着て・・・、ちょっと悪戯心が過ぎちゃった。」
「悪戯って?」
「なんていったらいいのかよくわからない。でも、何か、困らせたくなって」
「確かに十分困ったな。でも、俺もヤキが回っちゃって・・・ごめん」
「ああ!恭子どうしよう、あんなことや、こんなこと、いっぱいされちゃって、お嫁にいけな〜い!」
森本は頭を抱え込んだ。
「しかし、ここのセキュリティってどうなってんの。何か工事したんだろ。」
「監視カメラ。全部記録されてる。」
「ゲゲーッ!」
「ウッソー!壁にボタンあるでしょ、あれが、更衣室や部室、あとプールサイドにもついてて、事故防止と
防犯と兼ねているの。」
「ああ、びっくりした。」
「あのボタン、今おすとどうなるかしら」
「で、先生達がきて、俺に襲われたって?」
「フフ、どうしようかしら?隠しててほしい。」
「祐子にだけは絶対言わないで!後はなんでもします。」
恭子は少し胸がズキッとしたが、
「あたりまえでしょ。かわいい後輩の祐子を、私が泣かすようなもんじゃない。そんなこと当然しないわよ」
「よかった」
「あなたはそれでよかったけど、私のことはどうなるのかしら?」
「前のことといい、今回のことといい、申し訳ございません」
「フフ、まあ、前のことはいいわ、今日のことはどうしようかなあ〜?」
「前のことはいいの?」
「あなたにはお礼しなきゃならないから。事件の時はお世話になったし、あのあとも、なにかと気遣ってくれて、ありがとう。」
「いやあ、俺は何もたいしたことはしてないよ。まあ、借りのことはまた。時間が遅くなっちゃった。」

森本は風呂からあがり、シャワーを浴びに、男子部室横のシャワーボックスにはいった。
ウエットを洗って、たまりにたまった下の方をさっさと自己処理したが、凄い勢いで、ちょっとクラッとした。
こんなによかったのは初めてだ。
かなり感触が残ってたし。
さっさと体をふいて、部室へ入っていった。

恭子は、森本が部室へ入るのを確認してから、女子部室横のシャワーボックスにはいった。
体がジンジン熱く、少し冷ためのシャワーを浴びたが、胸と下腹部は熱いままだった。
そして、自分の蜜でぬるっとしている水着の下腹部をシャワーで洗い流したが、そのまま、その場にしゃがみ込んでしまった。
体の芯がほてって、少しづつ何かほどけていくような・・・。
気持ちが落ち着いてきてから、シャワーボックスを出て部室にはいった。

森本は大会に必要なものは前日にとりにくるため、軽い荷物で部室を出た。
恭子がなかなかでてこないので、少し心配したが、顔を真っ赤にしてあわててでてきた。
「風呂に長く入りすぎたんじゃねえの?」
「誰かが、変なことしたからじゃないの?」
「グッ、まあでも、いつもの佐々木になったな。」
「えっ、これまで何の佐々木だったの?」
「いや、ここ1ヶ月、俺に声もかけないし、泳ぎを見たら、ホームはバラバラだし、まだ体調悪いのかなと思ってたから。」
「確かにちょっと調子は悪かったの。練習不足とかのせいかな。今シーズン、入りが遅れちゃったから。」
「そうか・・・。でも、今日のあんな水着、どこで買ったんだ?」
「上野のスポーツショップ。」
「あんなもんが?!」
「エールブルーのロングスパッツくらいおいてるわよ」
「じゃなくて!もうひとつのあの・・・・」
「あ、あんたが欲情したやつ、・・・の近所のコスプレ屋。結構安いのよ。カットも一緒だったから、なんとなく買っちゃった。店なんか聞いて、まさか、祐子に着させる気?」
「そんなことするか!よくあんなモン買ったな、っておもったんだ!」
「あんなモンって、よろこんでたくせに。まあ、今日始めて着たけど、あれはちょっと着る時ないなあ。でも元はとれたか。また貸しがつくれたし」
森本は、またこの調子か、と思ったものの、恭子が元気なのはうれしかった。

恭子は、家について、自分の部屋のベットに崩れ落ちた。
色々な疲れがどっと襲ってきた。
なんか、バカなことしちゃったなあ・・・。
でも、やっぱ、祐子ちゃんなのか・・・。ケジメつけなきゃ・・・・。
恭子の目からは、涙があふれてとまらなかった・・・。

秋のインターハイは千葉で行わるため、顧問になった大嶋をはじめ、大塚と陸上部員、仲のよいクラスメイト、そして祐子と祐子の母親も応援にくるという。
佐々木も、マネージャー代わりに出発から同行する。
日曜日ということもあり、しかもインターハイなので、校長や教頭、森本の家族までみなやってくることとなり、地元校や有力校に次いでの大応援団となってしまった。
恭子と祐子は久しぶりの再会を喜んでいた。
顧問の大嶋とマネージャーとして登録した恭子は、IDをもって、選手待機所に入った。
関係者以外はコース外の観戦席に入った。
待機エリアで自転車のメカチェックやアップをしていて、外をみると、森本の父と、祐子の母が談笑していた。
その横に祐子が笑顔で座っていた。
気にはなったが、スタート時刻が近づいており作業をすすめた。
女子のあと、時間差で男子がスタートし、森本は先頭集団につけ、そのまま5位前後でスイムを終えた。
バイクに入って快進撃がはじまった。
高井ゆずりの走りは、前方集団を次々ぬき、その様子は周回コースのため、観戦者達にもみるみるトップと差が縮まるのがわかった。
森本は、行ける!行ける!足が回る、軽い!調整がうまくいったぜ。
下半身のほうも!と、意外とアホなことを考えていた。
終盤にはトップに立ち、バイクゴールをトップで通過した。
ランも快走したが、終盤、陸上出身の選手が追い上げ、抜かれてしまったが、それでも1年生初出場で2位の快挙だった。
ゴールチェックを終え待機所にもどると、恭子がバスタオルをもって、大嶋とともにやってきた。
「すごいじゃん。やったね!」
「ほんと、見てて鳥肌たったわよ。はじめて見たけど、おもしろかったし、すごかったわ」
「いやあ、ほんと調子よかったんですよ。最後、抜かれちゃったけど。」
外にいる東高応援団に少し手をふった。大盛り上がりで歓声があがった。
祐子も拍手していた。
「足も軽かったし、先週の調整がうまくいたのかな?」
「何の調整なんだか」
という会話を聞いて、大嶋は意味がよくわかなかったが、校長に手招きされ、関係者エリアを出て行った。
「うーん、でも下半身も調子がよかったのは確かだった。なんか溜まってたモノがとれたような」
「・・・・。ちょっと尊敬した、私がバカだったわ」
「いや、まじめな話だよ。それが結果に直結したのかはわからないけど。悪くなかったのは確かだ。」
「で、次も調整したいって?また高くつくわよ。」
「そんなこと言わねえよ!冗談だよ」
「まあ、今度からは、祐子ちゃんにたのんでね。そうだ、あのピカピカの競泳水着、祐子ちゃんに渡しとこうか。
森本が着て欲しいって言ってた、って言っといてあげる。」
「こんな会話、外に出たらするなよ。」
「そうね、大変よね。」
「一応、疲れてるんですけど。」
「それを癒すのも誰かさんの役目でしょ。私は代役のマネージャー。」
といって、トランジッションエリアへ、自転車やヘルメット、ウエットスーツをとりに行った。
大会本部から、選手確認によばれ、手続きを行った。
役員から来年のシード権と、国体出場権の獲得をつげられた。
ゴール制限タイムが過ぎ、コースと関係者エリアがオープンになり、表彰式がはじまった。
今日、観戦に来た人たちが祝福してくれた。
表彰台を降り、東高応援団のところへ向かうと、大塚と陸上部員、クラスメイト達に、校長、教頭まで加わって、胴上げが行われた。
東高では高瀬に次ぐ活躍であった。
帰り支度などをして、やっと家族と祐子、祐子の母親と会うことができた。
しかし、家族は、じゃあ先に帰ってるから、といってすぐに帰ってしまった。
自転車と大きなバッグをもって途方にくれた。
朝は、大嶋の車で恭子とともに学校から来たが、帰りは、学校へ持って帰るモノをつんで、大嶋は恭子と先に帰ってしまった。
俺はこれをかついで電車で帰るのか?と思っていたら、祐子の母親が車にのせてくれるという。
「すいません。自分の家族に見捨てられて。」
「まあ、うちの車でかいし、他に祐子だけだから、乗せやすくていいでしょ。」
「これ、新車ですね。こういうバン、いいなあ、便利そうで。」
「あんたんとこなら、いつでも買えるじゃない。」
「エッ、そんなことは・・・。」
「部長、それくらい給料とってるでしょ?」
あ、そうか。森本は、以前恭子に聞いた話を思い出した。
親父と、祐子の母親、同じ病院だったんだ。
「すいません、親父達には祐子ちゃんとつきあってること言って無くて・・・。」
「そんなことはいいよ。でも今日、ばれちゃったよ。さすがだね、そうは言わなかったけど。っていうか、今日の祐子みてりゃあ、すぐわかるかな。」
「そうかな〜?」
「それで、私が送っていくから食事にでも、って言ったの。勝手に決めちゃってわるかったね。」
「いえ、そんなことは・・・。今年正看になられたんですか?」
「そう、それに今の病院に正規で配属されて。給料も格段にアップして、この車もね。家も今年中には引っ越し。こっちは出て行かなきゃならないんだけど。所得制限で。でもね、あなたのお父さんには感謝しているのよ、看護助手や、准看時代の経験を実績に評価してくれて、もうすぐ主任にもなれそうだし。それであなたのこと、余計、信頼しているの。」
「そうだったんですか。」

祐子の母に送ってもらい、自宅へついたのは10時を回っていた。
父親が、書斎にいて、祐子とつきあっていることを、話していなくて悪かったと謝った。
わざわざ言う方が、普通じゃないさ、と言ってくれ、彼女の娘さんなら自分は嬉しい、おまえになら何も言う必要は無いと思うが、相手の気持ちを考えて大切にしろ、と言った。
書斎をでて、父親の言葉に、これまで、多少猥褻なことをしてしまったことで、胸が痛んだが、これから少し気をつけようと思った。

森本の大会出場をもって、トライアスロン部はオフシーズンに入った。
軽めのメニューと予備校通いが続き、月に一度程度は祐子と会った。
半分くらいは母親も一緒だった。
東高のプールも屋外のため、同時にオフになった。
恭子は、高瀬もいなくなってしまい、大嶋のはからいで、森本の所属する公共温水プールのマスターズサークルに入った。
森本とは、練習日数も練習時間帯も異なるため、顔をあわすことがなかった。

〈後編 FIN〉



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